心が対象に触れるとき、2つの反応が起こります。
対象に反発すると「怒り」が生じ、対象に引きつけられると「欲」が生じます。これは誰にでも共通する普遍的な法則=真理です。
二極性
あれ? 何かに似てる。
磁石の性質と心のはたらきは、実によく似ています。磁石にはS極とN極があり、同じ極を近づければ反発し、違う極を近づければ引き合います。人間関係でも同じことが起きます。人間の心も磁石のように、「同質のものには反発し、異質のものには引かれる」という二極的な法則に従って動いています。
自分と考え方や価値観が似た人が、自分の常識から外れた言動をとると反発を感じます。たとえば、家族には、他者よりもずっと厳しくこの反発がストレートに現れることがあります。これは、自分の固定観念や安心感が揺さぶられるためです。
逆に、自分とは異なる特徴や価値観を持つ人には興味や好奇心を抱き、自然に引きつけられます。異なる要素は新しい刺激や学びをもたらし、心が広がる感覚を与えてくれるからです。反発と引きつけ、この2つの作用は必然的に現れるのです。
分割
さらに磁石を分割するとどうなるでしょうか。
S極だけの磁石やN極だけの磁石が生まれることはありません。分割されたそれぞれに必ず新たなS極とN極が現れます。どんなに小さくしても、磁石には両極が存在し続けます。
これは、磁石を構成する原子がそれぞれ小さな磁石の役割を持ち、どんなに小さく切っても必ずS極とN極がペアになっているからです。
地球も大きな磁石
地球全体もまたS極とN極をもつ大きな磁石です。宇宙のスケールにおいても、この二極性は貫かれています。地球から分割された生命体の1つである私たちの心に、同じ性質があるのは当然ですね。
地球から分割した私たちの心もまた、対象に触れるとき、必ず「好き/嫌い」という二極性を生み出します。磁石の両極が決して片方だけでは存在できないように、心の「好き/嫌い」一方だけを切り離して保つことはできないのです。
瞑想は、この法則を実生活のあらゆる面に見出して、体験を通して宇宙の法則を理解するための実践です。対象に触れた瞬間に生まれる「好き/嫌い」の心の動きを観察し、反発も引きつけもせずに、反応しないで心を動かさない訓練をすることで、心は二極の引き合いから自由になることができます。
初めのうちは主観的な経験として、自分の悩みや苦しみを観察するうちに、どんな問題も自分に固有の個人的な問題ではなく、宇宙全体に共通する普遍的なパターンであることに気づくのです。
二極性は消せませんが、二極のあいだに立ち、磁力の流れに呑み込まれない自由を得ることはできます。それが、磁石の法則を超える唯一の道なのだと思います。