2回目のヴィパッサナー瞑想 千葉

瞑想と邪念イラスト

ヴィパッサナー瞑想
千葉「ダンマーディッチャ」10日間コース

はじめてのヴィパッサナー瞑想コース参加から約1年半経ち、毎朝毎晩の瞑想もどこへやら。心もすっかりやさぐれてしまったので、2018年の12月、千葉ダンマーディッチャでの10日間コースに参加しました。2回目の参加です。
ところがこれが、ダメダメの10日間で私にとっては残念なコースになってしまいました。
初回があまりに素晴らしく感動的な体験だったのと、2回目で経験者というおごりがあったのか、瞑想に没頭できず、焦って終わった10日間でした。

まず、音に悩まされました。

瞑想中に瞑想ホールを出入りする人がやたら多く、いつも扉がバタンバタンと音を立てる。
元々、音に敏感で神経質な私なのですが、瞑想中、神経を研ぎ澄ませるとさらに音にものすごく敏感になり、音がものすごく大きく聞こえるのです。

また、同じ参加者の中に、変なシャックリをずっとしている男性と、洗濯ばかりして瞑想しない女性がいて、その2人の存在に心を奪われてしまったのです。
もうこれでは、ヴィパッサナー瞑想の教えを全くわかっていない人ですね。

ヴィパッサナー瞑想は、「何が起きても動じない平静な心を鍛える」瞑想法です。
心地よいと感じる事に執着したり、不快だと感じる事に嫌悪することなく、何事にも反応せず、何事もすべて生まれては消える、全ては変わるゆくと経験して、常に心を平静に保つための瞑想です。

それなのに、それなのに。頭ではわかっちゃいるけど、心は囚われの身、じゃなくて心。

シャックリ君

男性のしゃっくりは、しゃっくりと喉を鳴らす音が組み合わさった異音で、「ンガ、ンガ、ンガ、ンガ…」と、瞑想中にずっとしゃっくりを続けるのです。
ATが「?」と注意を払うとピタッと止まるのですが、またしばらくすると「ンガ、ンガ、ンガ、ンガ…」とはじまる。10日間ずっとです。かなり大きな音で、ホールに響いていたように私は思いました。

あまりにひどいので、途中何度かATへの質問で訴えてみようかと思いましたが、夜の講話の中で「グループ瞑想中に変なシャックリをする人」の話があり、「そんな音にも気を取られることなく瞑想をするべし」って教えだったので、「あー、まさに講話の通り。そんなただの音に気をとらわれる私がいけないのだ」と思い直して訴えは止め、頑張って瞑想だけに集中するよう努めました。

が、私ごときの瞑想者にはハードル高し。ぜんっぜん集中できなかった。
彼のシャックリに囚われの私でした。

洗濯女

そしてもう一人、私の心を釘付けにしたのが、「洗濯女」。
古い生徒として参加されていましたが、「え?」ってくらい瞑想しない。
ずっとずっとお洗濯を夢中でしているのです。
1日3回の動いちゃいけないグループ瞑想中は、後ろに椅子席で毛布にくるまって瞑想に参加していましたが、それ以外は瞑想ホールに決していない。
自室でガタガタ片付け物をしているか、洗濯をジャバジャバしている。
休み時間はもちろん、自由瞑想中も洗濯。
「そんなに洗うもの、ある?」と思ってみたら、ある日はバッグも水洗いしていた…。
これもまた、気を取られてはいけないに決まっているのに、他にも多々奇行があり、気になる気になる。イエローカード10枚とレッドカード30枚切りたくなるくらい、心を奪われてしまいました。

あーもう、彼と彼女に虜の10日間でした。

そしてコース終了後、まずシャックリ君について、他の参加者に聞いてみたところ、気になったという人もいれば、「特に気にならなかった」という人もいたのです。

それなりに印象的な音だったようだけど、対策は講じられず、そのままコース終了まで音は続いたし、「音は聞こえたけど、別に気にならなかったよ」って人も確かにいたのだから、やっぱり世界は人の数だけある!と思いました。

そしてATに、「音を何とかしてほしい」と相談した人もいました。
それに対してATは、「あなたは台風で風が窓を激しくガタガタと鳴らし続けた時に、それをうるさい、我慢できない、なんとかしてくれ、と思いますか? シャックリも同じ音に過ぎないのです」という答えだったそうです。
なるほど確かに。「誰かがワザと音を立てている」という勝手な思い込みがあり、その音に自分のいろんな思いが入って、結果、「気になる音」になるけれど、この音も台風の風の音と何ら変わりない、同じ単なる音でしかない。

みんなで同じ空間を共有していても、そこで見えているもの、聞こえているもの、現実は同じはずなのに、受け止め方=感覚は全く違う。まさにヴィパッサナーの教えそのもの、だということを実感しました。良くも悪くも、人は他人に対してイメージを勝手に作り上げていることが体感できたのです。大収穫。

なので、洗濯女については、他の人がどう思っていたのかは、もう話題にすることはやめました。物事、感覚、感情は全て「生まれては消える」。

そんなわけで、いまひとつ、いや全然集中力に欠けるヴィパッサナー瞑想2回目ではありましたが、経験を通しての大きな学びがありました。

そしてもう1つ、私の身体に変化が少しありました。

「聖なる沈黙」解除後に大きな変化が

9日目。聖なる沈黙が解かれ「あー、人としゃべるの面倒くさいなー」と思いながらトイレに向かって歩いている時、自分から立ちのぼる「妙な臭い」に気付きました。
「なんかクサい。ホコリっぽい臭いがすごくする!」

「うーーん、着た切り雀だったから? 洗ったはずなのに、すごく臭うなー」、と思いつつコースを終えて帰宅。
着ていた服は全部洗濯機に放り込み、風呂に入って着替え、そして夜の瞑想をすることに。

すると、「あれれ? またまた臭う。しかもものすごく臭うよ、埃っぽい臭いが」
「おかしいぞ? エアコンのフィルター?」
すごく臭うので、フィルターを外して掃除してみるが、まだ臭う。
そこで部屋に掃除機をかけてみる。若干いいけど、やっぱりハッキリ臭うのです。

結局、部屋のエアコンを入れて、埃が巻き上がる中で瞑想すると埃の臭いがするようでした。床を水拭きすると臭わなくなりました。

その後、どうやら瞑想を始めると嗅覚がとっても鋭くなり、臭いに敏感になるようだということがわかりました。普通に外を歩いていたり、職場などでは、他に気を取られているせいか、埃に限らず特別な臭いは全然感じないのです。

全然集中できなくて散々な10日間コースだったと思いましたが、それなりに違った進歩はあったようです。五感のうち聴覚はシャックリ君に、視覚は洗濯女に明け渡してしまった私でしたが、どうやら嗅覚だけが研ぎ澄ませれた10日間だったようです。

古い生徒は夕方のフルーツもなし

最後に2回目以降の参加者の初回と大きく違う点について。

新しい生徒(初めての参加者)は、夕方5時のティータイムに果物が出されます。リンゴを1個、バナナ1本、オレンジ1個でも食べれば、かなりお腹は膨れます。
そしてお茶にミルクを入れて飲むこともできます。

しかし、古い生徒(2回目以降の参加者)は、果物なし、お茶も砂糖もミルクもなしです。
11時の昼食後は、何も食べないのです。

これがたぶん、2回目以降の参加で一番不安に思うことだと思うのですが、これは全く平気です。食べない方が瞑想しやすくなるのがわかってくるからです。11時の食事後の睡魔を乗り越えれば、もう眠くなることもなく瞑想に集中できるのです。

これは他の参加者も、みなさんそう言っているので、全然心配しなくて大丈夫です。

ちなみ果物は、古い生徒には翌朝の朝食で提供されます。

あまり参考にならない2回目の体験記でしたが、以上です。

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