よく「バランスが大事」などと言いますが、大事なのはバランスではなく「調和(ハーモニー)」かもしれません。
バランスと調和は混同されがちですが、大きく違います。
バランスと調和の違い
バランスは、2つの力が引き合って均等を保っている状態です。五分五分で引き合い合い、その割合が少しでも崩れるとバランスを崩します。一方を追求すれば、他方を犠牲にせざるを得ない関係です。
一方、調和は、2つの本質(個性)が第三者のために協力して、お互いを生かし合う状態です。それぞれが力を発揮する割合は、7対3だったり、1対9でも調和は成立します。互いを補い合う関係です。
例えば、2人の関係をどちらも満足な状態にバランスを保とうとすると、小さなことでもバランスが崩れますが、この2人の間に、3つ目の存在として両者共通の利益を見出し、割合を変化させながら共に実現することで、対立を協力に変えるのが調和です。
調和は仲良くしなくていい
調和=仲良くすることだと思いがちですが、両者が仲良くやっていくことではなく、第三者のためにお互いのパフォーマンス(仕事ぶり)を良くすることです。
お互い仲良くやろうとするから、バランスが崩れるのです。仲良くしなくていいのです。お互いの能力を出し合って、協力することで調和が保たれます。
そういう意味で、家族というのは大変大きな学びの場なのかもしれませんね。
心身のバランス
自分の心や心身のバランスをとる。これもよく言われる大切なことですが、これも実際には、バランスではなく調和だと思うのです。
バランスは一点に固定しようとする考えですが、何事も一点に定めることはできません。それは、何事も無常だからです。
あらゆるものが常に変化していて無常なのは、宇宙の流れである自然の法則が、常に調和するように修正し続けているからです。バランスをとるということは、それを一点に定めようとすることで、そもそも無理なのです。
私たちがバランスを取ろうとしなければ、自然のまま、ありのままでいれば、本来、調和が取れるんじゃないかと思います。
調和がとれているかどうかは、何かの行為をしようとする時、身体の行為であっても、言葉の行為であっても、心に思い浮かべる行為であっても、それが自分のためなのか、家族のためなのか、人間のためなのか、あらゆる生物のためなのか、地球のためなのか、全宇宙のためなのか考えて、より大きなカテゴリーであれば、より役に立つ調和がとれた行為だと言えます。
三宝
あらゆるものと調和できる人が「ブッダ(悟りを得た覚者)」であり、宇宙を常に自転公転の中で調和させる力が「ダンマ」、人と人とが調和して助け合う社会が「サンガ」。これが「三宝」で、その3つでさらなる調和を生み出しています。
だから、みんなと仲良くしようなどと無駄な努力をするよりも、ただ、自分にできることで他の存在たちの役に立つ行為を、淡々とすればいいんじゃないかと思います。
生きているといろいろなことが起ります。それらに対して、喜怒哀楽で反応するのではなく、淡々と対応して、心穏やかに落ち着いて最善を尽くせば、もう何が起きても問題ではなく、学びを得るための課題になります。慌てることも、怖れることもないのです。
それじゃあ、つまらない? 刺激がないですからね。まあ、やってみてください。クリアするだけで、宇宙に大きな貯蓄ができますから。
以上です。