四十肩・五十肩を治す方法(我流)

ある日、気づいたら「あ、痛たたた……肩が痛くて、上がらん」ということはないでしょうか?

ついにワシにも来たか、四十肩・五十肩ってヤツです。私にもやって来ました。そして試行錯誤の末、自力で完治しましたので、そのコツ、というか私の身体で効果があった治療方法をお伝えします。

私の状態

コロナ以降、すっかり出不精になり、在宅ゴロゴロ勤務でほぼパソコンに釘付け状態の末、ハッと気づいたら、右肩を上げると激痛、肩より上には上がらなくなっていました。

ヨガ講師で身体の歪みにうるさい詳しい知人に見てもらったところ、「右が巻き肩になってる」とのこと。「巻き肩?」

巻き肩とは、肩が前方内側に入り込んでいる状態で、本来なら耳の直線上にあるはずの肩が、耳よりも前方に出てしまうそうです。猫背とは違って背筋はまっすぐなのに、肩だけ内側に入った状態です。気づかなかったけど、確かに右だけ、横から見ると肩が内側に丸まっています。

肩が丸まった姿勢でパソコンを長時間使用しているうちに、背中の筋肉が徐々に伸び、肩甲骨を寄せたり、胸を張る筋力が弱くなって、肋骨と肩甲骨をつないでいる小胸筋が縮み、肩甲骨が前に引っ張られ、丸まっている状態です。身体の前後のバランスが崩れているのです。

ど、ど、どうすればいいの?

改善策あれこれ

ということで、さっそく改善策をあれこれ試してみました。

1. 椅子から座りに変更

これは前述の知人のお勧めです。椅子に机でパソコン作業をしていましたが、床に座ってやるといいよ、ということで、さっそく、座位での作業机をセットしました。がー、これが慣れなくって、メッチャやりにくい。「瞑想と一緒の座り姿勢」だから楽勝だと思いましたが、なんだろう、このやりにくさ。マウスが操作できないんです。高さをいろいろ調整してみましたが、イライラしちゃって、仕事に差し障りがあり、断念。

2. パソコンの高さを調整

座り作業に断念しましたが、椅子作業のままでも、身体が前傾せずに胸を張った状態に自然になるように、PCの高さを調整してみました。これまでは、机上にノートPCを置いての作業だったので、どうしても目線が下がります。大型本を重ねて置き、パソコンの高さを20cm上に移動しました。ノートPCは90°の角度で開き、視線の真正面にディスプレイがくるように調整しました。目と視線の間隔は75cmです。かなり離れていますが、老眼も入り、ちょうどいい感じです(笑)。これならマウス操作も違和感なくできて、自然に姿勢がよくなります。

3. マッサージ

マッサージのポイントは、常に水を多めに飲むようにして、筋肉と骨をつなぐ腱(けん)が潤った状態で行うようにしました。加齢により、腱に潤いがなくなると身体は硬くなります。お風呂上がりにやるものいいですが、身体の内側から潤った状態で始めた方が効果的です。筋肉の柔軟性を高めて、関節の可動域を広げるつもりでやりました。いろいろ試した中で、効果を感じたのが以下のセルフマッサージです。

小胸筋:鎖骨の下、胸の奥の方の筋肉(インナーマッスル)が凝り固まっています。縮んでいる小胸筋を、ゴリゴリマッサージしてみます。ツボでいえば「中府」のあたりです。ゴリゴリマッサージすると、あーら不思議、上がらなかった腕が上がるようになります。これが私は一番効果がありました。

僧帽筋:痛くない方の手で、前から肩をつかみ、人差し指、中指、薬指の3本の指先で僧帽筋をつかみ、肘をグルグルまわます。私の場合は、笑っちゃうくらいゴリゴリ音がして、やってもやっても気が済みませんでした。

肩髎のツボ:肩の骨のくぼみにある肩髎(けんりょう)のツボを刺激します。肩甲骨の端と腕の骨の付け根の間ですが、よくわかりませんが、私の場合は、腕を上げたり下げたりしながら、肩の骨のくぼみを探して、指先が入る窪みがあったら、そこを気持ちいい程度に刺激しました。体の側面のこわばりがとれる感じがします。

4. 反対の股関節と連動

さて、肩が上がらなくなったのと並行して、反対側の股関節も調子が悪くなり、毎日の瞑想も右足を手前にして座るのが、大変辛くなりました。これは明らかにバランスが崩れていると実感。入浴後に股関節を開いたり、グルグル回す体操をしてみました。股関節がよくなると同時に肩も痛みが和らぐのがわかり、明らかに連動しているな、と感じました。

そんな話をしたら、ヨガ講師の知人が「股関節にはネガティブな感情が溜まるから…」と。そ、そうなんだ。自分としては瞑想していて、鳩尾(みぞおち)と仙骨の裏にネガティブな感情が溜まっている、という実感があったのですが(瞑想が深まると、鳩尾からスイッスイッて出てくる感覚があるんです、私の場合は)、股関節は気づかなかったわー。そうなんだ。

東洋医学でエネルギーの通り道とされる経絡は、ネガティブな感情によって滞り、関係する筋肉が硬くなると考えられています。 そういう意味では、今回の私、当てはまりますね。

ということで上記2〜4の3つを地道に続けた結果、かなり良くなりましたが、それでも完璧ではないのです。なかなか完治しない。うーん、根強いなぁ、と思っていたら発見しました。完治するための最後の1つを。

5. 毎日、歩く

そうなんです、たまたま毎日、歩いたんです。ちょっと精神的に鬱っぽくなり、まずいな、と思って、毎日、無理やり外に出て、暑くても大雨でも、1時間以上歩くことを自分に義務付けたのです。歩くと、私の場合、鬱っぽい気分が消えるのでね。それを続けて1週間ちょい、あれ? 鬱も消えたけど、肩が完全に治ってる! 全然違和感がない。昔の私の肩だ!

歩くってすごいね。最後の仕上げは、歩くことで、身体が自分で治してくれたんです。思えば、コロナ以降の引きこもり生活で、すっかり歩くことを忘れた私。元々は歩くの大好きで、山歩きもよくしていましたが、瞑想にハマってからは、心の旅に忙しくて、歩く暇があれば瞑想したいになっていたのです。

ということで、私の結論としては、大地を踏み締めて歩くという行為は、身体のバランスを整える基本なのだな、ということです。肩が上がらなくなったのは、姿勢からくる上半身の前後バランスの崩れでしたが、その乱れが股関節に現れたことからも、そもそも歩く機会が減って、身体全体でバランスを整える機会が失われていたのだと思います。歩くって自然治癒の基本ですね。本当に身を持って実感しました。

特別なことはしなくても、一歩一歩元気に、正しく歩く。それだけで大概の不調は治るのかもしれません。そのためには、姿勢良く歩くことが大事ですが、その正解はないと思うんです。しっかりと視線を前に向けて、胸を張って元気に明るく歩くでいいのではないでしょうか。そうすれば、それぞれの身体に合ったバランスが自然に整うのだと思います。

以上です。