コース中の誓願の言葉

ゴエンカ氏のヴィパッサナー 瞑想10日間コースに参加すると、初日Day0の夜(20時)と、Day4のヴィパッサナー 瞑想が始まる前(15時)に、参加者はパーリ語で誓いの言葉を唱えます。

適当に真似っこで発声すればいいのですが、何度かコースに参加するうちに、ちゃんとわかって誓願してみたいと思うようになるかもしれません。そんな方は、以下の誓願文を参考にしてください。

Day0:コース初日夜 開始の手続き

Tīsaraṇa-gamanaṃ 三宝に帰依

コース中は、ブッダ、ダンマ、サンガ(修行者の集まり)を、心の拠り所として修行に励むことを誓います。

Buddhaṃ saraṇaṃ gacchāmi.
ブッダン サラナン ガッチャーミ
ブッダに 帰依し 私はついて行きます。

Dhammaṃ saraṇaṃ gacchāmi.
ダンマン サラナン ガッチャーミ
ダンマに 帰依し 私はついて行きます。

Saṅghaṃ saraṇaṃ gacchāmi.
サンガン サラナン ガッチャーミ
サンガに 帰依し 私はついて行きます。

同じ言葉を3回繰り返します。

Aṭṭhaṅga-sīla 八戒を誓う

続いて、コース中は8つの戒めを守ることを誓います。

Pāṇātipātā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
パーナーティパーター ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤーミ
殺生を 離れる 規則を 私は引き受けます。

Adinnādānā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
アディンナーダーナー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤーミ
与えられていないものを取ることを 離れる 規則を 私は引き受けます。

Abrahmacariyā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
アブラマチャリヤー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤーミ
性行為を 離れる 規則を 私は引き受けます。

Musā-vādā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
ムサー・ヴァーダー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤーミ
偽りの言葉を 離れる 規則を 私は引き受けます。

Surā-meraya-majja-pamādaṭṭhānā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
スーラ・メーラヤ・マッジャパマーダッターナー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤーミ
酒や果実酒など、無分別の原因となる酔うものを 離れる 規則を 私は引き受けます。

Vikālabhojanā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
ヴィカーラボジャナー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤミ
午後の飲食を 離れる 規則を 私は引き受けます。
※この戒めは、新しい生徒(初めての参加者)には適用されません。古い生徒だけです。

Nacca-gīta-vādita-visūkadassanā-mālā-gandhavilepana-dhāraṇa-maṇḍana-vibhūsanaṭṭhānā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
ナッチャ・ギータ・ヴァーディタ・ヴィスーカダッサナー・マーラー・ガンダヴィレパナ・ダーラナ・マンダナ・ヴィビューサナッターナー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤミ
踊り・歌・音楽・娯楽・花飾り・香水・化粧品・装身具、室内装飾を 離れる 規則を 私は引き受けます。

Uccāsayana-mahāsayanā veramaṇī sikkhāpadaṃ samādiyāmi.
ウッチャーサヤナ・マハーサヤナー ヴェーラマニー シッカーパダン サマーディヤミ
高い寝床や大きな寝床を 離れる 規則を 私は引き受けます。

Pariccajāmi 完全な降伏を誓う

Imāhaṃ bhante attabhāvaṃ jīvitaṃ bhagavato pariccajāmi.
イマーハン バンテー アッタバーヴァン ジーヴィタン バガヴァトー パリッチャジャーミ
ここに私は 先生! 私の身を 命を ブッダに 完全にゆだねます。

Imāhaṃ bhante attabhāvaṃ jīvitaṃ ācariyassa pariccajāmi.
イマーハン バンテー アッタバーヴァン ジーヴィタン アーチャリヤッサ パリッチャジャーミ
ここに私は 先生! 私の身を 命を 先生に 完全にゆだねます。

Kammaṭṭhānā 教えを依頼する(アーナーパーナ瞑想)

Nibbānassa sacchikaraṇatthāya me bhante ānāpāna kammaṭṭhānāṃ dehi.
ニッバーナッサ サッチカラナッターヤ メー バンテー アーナーパーナ カンマッターナーン デーヒ
涅槃を 体験するために 私に 先生! アーナーパーナの 瞑想の対象を 与えてください。

Day4:ヴィパッサナー 瞑想に入る日の誓願

コース中、アーナーパーナ瞑想からヴィパッサナー 瞑想に入る日(10日間コースの場合はDay4)に、ヴィパッサナー瞑想を教えてくれるようお願いします。

Kammaṭṭhānā 教えを依頼する(ヴィパッサナー 瞑想)

Nibbānassa sacchikaraṇatthāya me bhante vipassanā kammaṭṭhānāṃ dehi.
ニッバーナッサ サッチカラナッターヤ メー バンテー ヴィパッサナー カンマッターナーン デーヒ
涅槃を 体験するために 私に 先生! ヴィパッサナーの 瞑想の対象を 与えてください。

まとめ

以上がコース中の誓願の言葉です。

私ははじめてのコースに参加した際に、この誓願に正直ビビりました。「あ、やっぱりなんか宗教っぽいかも……」と思ったのです。それでも強制されている感じはしなかったので、無言でやり過ごしました。今は嬉々として誓願の言葉を発声しています。

この誓願に従うのはコース中だけです。コースが終わっても継続したほうが、自分のためになりますが、世俗に戻れば、また世俗のルールに流される日々になるで、それはそれでOKだと思います。

誓願は自分のために立てるものです。センターのためや先生のために誓うのではありません。規律を実践し、最大の努力をすることによってはじめて、この瞑想法を理解し、自分のものとして役立てることができるからです。

規律を実践することで、自分の行動が他の参加者たちの迷惑にならないように常に意識することになり、自分の行動を常に観察し、少しは制御できるようになります。また、一方で集中を妨げるような他者の行動には気をとられないようにするのですが、まあ、我を忘れて他者を評価しまくるガッカリな自分も発見できるものです。

実際、コースの後半の頃には、自然にお互いが譲り合って、他者を思いやる雰囲気に参加者全員が自然になっていくのを毎回、ヒシヒシと感じます。

以上です。