14. Dhammikasuttaṃ ダンミカ ②
続いて在家修行者の心得について、ブッダがお話ししてくれます。
SN-2-14-395
"Gahaṭṭhavattaṃ pana vo vadāmi,
在家の・務めを さらに あなたたちに 話す・私は
yathākaro sāvako sādhu hoti;
どのように・行う 弟子は 善き ある
Na hesa labbhā sapariggahena,
ない 故に・この できる 財産を有する
phassetuṃ yo kevalo bhikkhudhammo.
触る 人は 全部 比丘の・ダンマは
さらに在家の心得も
あなたたちにお話しましょう。
善き弟子であるためには
どのように行動すべきか
家庭のある在家者に
比丘の決まりをそのまま全部
適用できないからです。
解説
家庭や財産がある在家の人々には、比丘と同じような規則を守る生活はできません。それでも善き弟子としてどのように行動すべきなのか、ブッダが直接説明してくれます。
SN-2-14-396
"Pāṇaṃ na hane na ca ghātayeyya,
生き物 ない 害する ない と 害するように・意趣
na cānujaññā hanataṃ paresaṃ;
ない また・許す 害すること 他を
Sabbesu bhūtesu nidhāya daṇḍaṃ,
全ての 存在に 下に置く 棒を
ye thāvarā ye ca tasā santi loke.
彼らは 不動の 彼らは と 動揺する ある この世で
生き物を傷つけないこと
他者に傷つけさせないこと
傷つける人を許さないこと
世界で強者であっても
弱者であっても
いかなる生き物に対して
非暴力でありなさい。
解説
人としてまず最初に守るべきことです。これは五戒の1番目です。誰だって、どんな生き物だって、傷つけられたくないし、痛いのは嫌だし、嫌なことはされたくないのです。だから自分がされて嫌なことはしないという戒めです。
仏教用語では、五戒の1番目は「不殺生=生き物を殺さない」となっていますが、殺さなければ意地悪してもいいわけではなく、他の生き物が嫌だと思うようなことは、どんなに些細なことでもしてはいけない、という教えです。
そしてまず、自分自身が他の生き物を傷つけない。
それだけでなく、他者が生き物を傷つけるように仕向けない。
さらに、誰かが生き物を傷つけることを容認しない。
という3段階にわたり、自分がしないだけではなく周囲にもさせたり、している人を見逃したりしてはいけないのです。
非暴力はブッダの教えの基本です。あらゆる存在は、大きな動物も人間も昆虫も微生物も、お互いに共存することで宇宙は成立しているからです。
SN-2-14-397
"Tato adinnaṃ parivajjayeyya,
その後 不・与えられた 慎むように
kiñci kvaci sāvako bujjhamāno;
何でも どこでも 弟子は 知りながら
Na hāraye harataṃ nānujaññā,
ない 奪わせる 奪うこと ない・許す
sabbaṃ adinnaṃ parivajjayeyya.
一切 不・与えられた 慎むように
次に弟子は
自分に与えられていない
とわかっているものは
物でも場所でも持ち去らないこと
他者に持ち去らせないこと
持ち去る人を容認しないこと
あらゆる盗みを慎むように。
解説
在家者でもブッダから「弟子」と呼ばれるとやる気が出ますね。五戒の2番目「盗まない」という戒めです。ここでブッダが説明しているように、物でも場所でも、他者のものだと知っていながら、自分に与えられていないものは持ち去らないようにします。
そしてここでも、まず自分自身が「盗まない」だけでなく、他者に「盗ませない」、さらに「誰かが盗むのを見て見ぬ振りをしない」の3段階で盗まないようにします。
SN-2-14-398
"Abrahmacariyaṃ parivajjayeyya,
不禁欲行 慎むように
aṅgārakāsuṃ jalitaṃva viññū;
炭火・坑 燃えたる 識者
Asambhuṇanto pana brahmacariyaṃ,
不可能 しかも 禁欲行
parassa dāraṃ na atikkameyya.
他者の 妻を ない 犯すように
賢明な者は
燃えさかる炭火のような
性行為を慎むこと
禁欲が不可能でも
不倫行為はしないこと。
解説
五戒の3番目「不適切な性行為はしない」。出家者は自慰行為を含む、一切の性行為を禁じられていますが、在家者の場合は「性行為はなるべく避けた方がいいが、無理な場合はパートナーとのみ」ということです。
SN-2-14-399
"Sabhaggato vā parisaggato vā,
集まり あるいは 衆に入れる あるいは
ekassa veko na musā bhaṇeyya;
各自 実に・誰か ない 偽り 語るように
Na bhāṇaye bhaṇataṃ nānujaññā,
ない 語らせる 語ることを ない・許す
sabbaṃ abhūtaṃ parivajjayeyya.
一切に 虚偽 慎むように
集会でも世間話でも
誰に対しても
嘘は言わないこと
他者に嘘を言わせないこと
嘘を言う人を容認しないこと
あらゆる虚偽を慎むように。
解説
五戒の4番目「嘘をつかない」「嘘をつかせない」「嘘つきを容認しない」です。
「嘘」とは「言葉の暴力(噂話や悪口、暴言やキツイ言い方など)とは違います。
嘘とは、正しくないとわかっていることを相手に伝えて欺くことです。この場合の「正しさ」は「事実と一致しない」という意味で、事実に反する事柄を自分のために正当化することです。
「嘘も方便」ということわざがあります。
「嘘をつくことは本来悪いことだが、物事を円滑に進めたり、良い結果をもたらしたりするための手段(方便)として、時には必要な場合もある」という解釈のようですが、パーリ語の原典には、「嘘も方便」といった記載は見当たりません。
「方便」とは、「智慧者が用いる巧みな手段」のことです。相手を悟りに導くために最適な方法を、智慧に基づいて瞬時に適切な判断を下せる能力です。相手にわかりやすく難しいことを理解してもらうために使用する方法であり、たとえ話であり「逸話」なのです。逸話は真実ではありませんが、嘘ではないのです。
SN-2-14-400
"Majjañca pānaṃ na samācareyya,
酔わせるもの・と 飲む ない
dhammaṃ imaṃ rocaye yo gahaṭṭho;
ダンマを これは 喜ぶ 彼は 在家
Na pāyaye pivataṃ nānujaññā,
ない 飲ませる 飲む ない・許す
ummādanantaṃ iti naṃ viditvā.
狂う・終局 とて それ 知って
このダンマを実践する在家者は、
酔わせるものを飲まないこと。
最後は狂うと知っているのだから
他者に飲ませないこと
飲む人を許さないこと
解説
五戒の5番目「酒や薬などで酩酊しない」です。
SN-2-14-401
"Madā hi pāpāni karonti bālā,
酔うことで 実に 悪を 為す 愚か者は
kārenti caññepi jane pamatte;
行う また・他にも 人々 我儘
Etaṃ apuññāyatanaṃ vivajjaye,
この 非福の・所を 避けなさい
ummādanaṃ mohanaṃ bālakantaṃ.
狂わせる 無知で 愚者の・好む
酔うことで
愚かな人は罪を犯す
仲間と連れ立って
無知で狂った愚か者が好む
この禍いの元に
近づかないこと。
解説
5番目の戒が実は一番重要です。人は酔って理性をなくすと、他の4つの戒を簡単に破ってしまうからです。以上の5つが五戒ですが、戒めは「〜してはいけない」という人から言われて守るルールではなく、「〜しない」という自発的な戒めなのです。
SN-2-14-402
"Pāṇaṃ na hane na cādinnamādiye,
生物 ない 害する ない と・ない・与えられた
musā na bhāse na ca majjapo siyā;
偽り ない 語る ない と 酩酊 あるだろう
Abrahmacariyā virameyya methunā,
不純行為 離れるように 性行
rattiṃ na bhuñjeyya vikālabhojanaṃ.
夜に ない 手にするように 午後・食事
生き物を傷つけない
与えられていないものは取らない
嘘を言わない
酩酊しない
不貞な性行為を慎む
夜や午後は食物を手にしない。
解説
最初の5つが五戒です。5番目までは、在家も出家も誰もが守るべき戒め「道徳」です。そして在家者も一時的に出家する場合などは、五戒に3つの戒を加えた八戒を守ります。6番目は「午後や夜に食事をしない」という戒めです。
SN-2-14-403
"Mālaṃ na dhāre na ca gandhamācare,
装飾 ない 保持 ない と 香・使う
mañce chamāyaṃ va sayetha santhate;
寝台 大地 あるいは 横たわる 敷物
Etañhi aṭṭhaṅgikamāhuposathaṃ,
これを・実に 8カ条・ウポーサタ
buddhena dukkhantagunā pakāsitaṃ.
覚者によって 苦しみ・克服した 明らかにする
装飾品や香水は使わない。
寝る時は大地または
敷物に横たわるように。
以上が
苦悩を克服した覚者によって
明らかにされた
八戒「ウポーサタ」です。
解説
7番目は「着飾ったり、化粧をしない」、8番目は「(寝台や寝具を使わないで)大地または拡げた敷物に横たわる」です。以上で8つの戒め「八戒」になります。
7番目の戒めは、現在の出家者が誓願では「踊り・歌・音楽・観劇、アクセサリー・香料・化粧・衣装・装飾・部屋を飾り付けしない」となっていますが、ここでは装飾品と香水だけです。8番目は、現在は「寝台に寝たり・立派な寝具を使わない」となっていて、意味は同じですが、「大地または敷物に横たわる」の方が、ブッダのイメージが伝わるように思いますが、後の人は「〜しない」で語尾を揃えたかったのかな?と思います。
SN-2-14-404
"Tato ca pakkhassupavassuposathaṃ,
それから また 半月・近く・住む・ウポーサタを
cātuddasiṃ pañcadasiñca aṭṭhamiṃ;
14日 15日・と 8日に
Pāṭihāriyapakkhañca pasannamānaso,
臨時の祝日・と 清らかな心で
aṭṭhaṅgupetaṃ susamattarūpaṃ.
8カ条・備えて よく・公平に・形で
次に、8日、14日、15日は
半月に一度ウポーサタに集まり
仕事を休んで清らかな心で
八戒を守って自戒しなさい。
解説
ウポーサタは、出家者が毎月2回、新月と満月の日に僧院に集まって、互いに戒律を守れているか確認し合う日です。ここでブッダは、在家者も「8、14、15日」はウポーサタのように僧院に集まり、出家者に倣って八戒を守るようにしなさいと教えています。
SN-2-14-405
"Tato ca pāto upavutthuposatho,
それから また 早朝に 近く・住む・ウポーサタを
annena pānena ca bhikkhusaṅghaṃ;
食物で 飲み物で と 比丘・サンガに
Pasannacitto anumodamāno,
清浄な心で 従って・喜びの心
yathārahaṃ saṃvibhajetha viññū.
能力に応じて 分けるように 智者は
そしてウポサータの早朝は
食べものや飲みものを
比丘の集まりであるサンガに
清らかな心で喜びを持って
それぞれのできる範囲で
分かち合うように。
解説
比丘たちの集まり「サンガ」に飲食物を施し、共有することに心からの喜びを感じてください、ということです。
SN-2-14-406
"Dhammena mātāpitaro bhareyya,
ダンマによって 母・父を 援助するように
payojaye dhammikaṃ so vaṇijjaṃ;
従事するように ダンマに精通した 彼は 商売に
Etaṃ gihī vattayamappamatto,
これを 在家は 義務・不怠惰
sayampabhe nāma upeti deve’’ti.
自ら・光 名 至る 神々 と
ダンマに従って両親を援助し
ダンマに則った商売をするように
これを義務として
熱心務める在家者は
自ら輝きその名声で
天界に至るのです。
とブッダは言いました。
解説
最後にブッダは、「両親を大切にすること、正しい仕事を熱心にすること」を加えています。八戒とこの2つの合わせて10の心得が、在家者が気をつける行動規範です。ダンマに従って、これらを実行する人は、「徳の高い人が生まれる天界に生まれ変わる」とブッダは言っています。天界に生まれ変わるのは、そんなに難しくないそうです。たった今、悪いことは一切やめて、今後は一切悪いことをしないで、他者の役に立つこと、助けることなど、善いことを一所懸命にすればOKです。みなさまも是非!
Dhammikasuttaṃ cuddasamaṃ niṭṭhitaṃ. ダンミカ ・スッタ集 14番目 終わり Cūḷavaggo dutiyo niṭṭhito. 小さな・章 2番目 終わり
ダンミカ のスッタ集 終わり
第2章「小さなこと」終わり
Tassuddānaṃ – 目録 Ratanāmagandho hiri ca, 宝・臭いもの 恥 と maṅgalaṃ sūcilomena; 幸せ スーチローマ Dhammacariyañca brāhmaṇo, 出家生活 バラモン nāvā kiṃsīlamuṭṭhānaṃ. 船 戒め・奮起 Rāhulo puna kappo ca, ラーフラ さらに カッパ と paribbājaniyaṃ tathā; 正しい遍歴 それから Dhammikañca viduno āhu, ダンミカ 所有する 言った cūḷavagganti cuddasāti. 小さい・章に 14
目録
小さな章には、宝物・生臭いもの・恥・幸せ・妖怪スーチローマ・出家生活・バラモンの教え・船・戒め・奮起・息子ラーフラ・ニグローダカッパ・正しい遍歴、そしてダンミカ 。以上の14の発言が収められています。
