6. Parābhavasuttaṃ 破滅 ③
SN1-6-105
‘‘Iti hetaṃ vijānāma,
sattamo so parābhavo;
第7の
Aṭṭhamaṃ bhagavā brūhi,
第8は
kiṃ parābhavato mukhaṃ’’.
なるほど
破滅に至る7つ目が
よくわかりました。
尊いお方よ、教えてください。
破滅につながる8つ目は?
SN1-6-106
‘‘Itthidhutto surādhutto,
女たらし 酒好き
akkhadhutto ca yo naro;
ギャンブル好き と 人は 人
Laddhaṃ laddhaṃ vināseti,
得た 得た 滅す
taṃ parābhavato mukhaṃ’’.
女に溺れ酒に溺れ
ギャンブルに溺れ
得た稼ぎを浪費する
それは破滅の始まりです
解説
破滅に至る8つ目は「女・酒・ギャンブル」です。2500年前も今も「女、酒、ギャンブル」が人を破滅に陥れるのです。これからもそうなのでしょうか?
SN1-6-107
‘‘Iti hetaṃ vijānāma,
aṭṭhamo so parābhavo;
第8の
Navamaṃ bhagavā brūhi,
第9は
kiṃ parābhavato mukhaṃ’’.
なるほど
破滅に至る8つ目が
よくわかりました。
尊いお方よ、教えてください。
破滅につながる9つ目は?
SN1-6-108
‘‘Sehi dārehi asantuṭṭho,
自己の 妻に 否・満足
vesiyāsu padussati;
遊女 悪事をなす
Dussati paradāresu,
過ち 他人の妻
taṃ parābhavato mukhaṃ’’.
自分の妻に満足せず
遊女と不品行なことをする
あるいは他人の妻と過ちを犯す
それは破滅の始まりです
解説
破滅に至る9つ目は「不倫」です。男性に限らず、女性も同じことです。
SN1-6-109
‘‘Iti hetaṃ vijānāma,
navamo so parābhavo;
第9の
Dasamaṃ bhagavā brūhi,
第10は
kiṃ parābhavato mukhaṃ’’.
なるほど
破滅に至る9つ目が
よくわかりました。
尊いお方よ、教えてください。
破滅につながる10番目は?
SN1-6-110
‘‘Atītayobbano poso,
過ぎ去る・青春 男は
āneti timbarutthaniṃ;
持ち帰る ティンバル・乳房ある
Tassā issā na supati,
彼女への 嫉妬 ない・眠る
taṃ parābhavato mukhaṃ’’.
青春は過ぎ去ったのに
ティンバルの実のような
乳房の若い女を連れ帰り
嫉妬して眠れなくなる
それは破滅の始まりです
解説
破滅に至る10番目は「若い女に入れ込むこと」です。年老いた者が若い女に入れ込んだところで、いつ魅力的な若い男に横取りされるかと気を揉むばかりです。若い男に入れ込む熟女も同様です。
timbaru(ティンバル)とは、Vipassana Research Instituteによると、The tinduka tree(ベンガル柿の木)です。日本の柿によく似た実がなるようです。
SN1-6-111
‘‘Iti hetaṃ vijānāma,
dasamo so parābhavo;
第10の
Ekādasamaṃ bhagavā brūhi,
第11は
kiṃ parābhavato mukhaṃ’’.
なるほど
破滅に至る10番目が
よくわかりました。
尊いお方よ、教えてください。
破滅につながる11番目は?
SN1-6-112
‘‘Itthiṃ soṇḍiṃ vikiraṇiṃ,
女 酒乱の 浪費する
purisaṃ vāpi tādisaṃ;
男 あるいは・また そのような
Issariyasmiṃ ṭhapeti,
主権を 置く
taṃ parābhavato mukhaṃ’’.
酒呑みで浪費する女
あるいはそのような男に
実権を与えれば
それは破滅の始まりです
解説
破滅に至る11番目は「酒呑みで浪費家に管理を任せること」です。
SN1-6-113
‘‘Iti hetaṃ vijānāma,
ekādasamo so parābhavo;
第11の
Dvādasamaṃ bhagavā brūhi,
第12は
kiṃ parābhavato mukhaṃ’’.
なるほど
破滅に至る11番目が
よくわかりました。
尊いお方よ、教えてください。
破滅につながる12番目は?
SN1-6-114
‘‘Appabhogo mahātaṇho,
少量・財 欲張り
khattiye jāyate kule;
王族 生まれ 家
So ca rajjaṃ patthayati,
彼は と 王位 熱望
taṃ parābhavato mukhaṃ’’.
王族の階級に生まれながら
財力が乏しく欲張りで
王位につくことを熱望する
それは破滅の始まりです
解説
破滅に至る12番目は「権力争い」です。Khattiya(カッティヤ)とは、クシャトリヤ階級のこと。古代インドのカースト制において、バラモン階級の次である第2位の身分で、王族・武族階級です。権力争いは戦争のはじまりです。
ブッダの家系であるsākiya(サーキヤ族・釈迦族)は、専制君主的な王が統治するのではなく、部族民の代表たちが集まって政策を決定する「Gaṇa sangha ガナサンガ制)を採用していたそうです。ガナは部族、サンガは集会という意味です。重要な問題はガナサンガで議論され、そこには誰でも参加できるものの、Raja(ラジャ・有力者)のメンバーだけが発言を許され、多数決ではなく合意によって決定されました。
SN1-6-115
‘‘Ete parābhave loke,
これら 破滅を 世界に
paṇḍito samavekkhiya;
賢人は 検討した
Ariyo dassanasampanno,
聖人は 見ること・成功した
sa lokaṃ bhajate siva’’nti.
彼は 世界を 築く 幸せな、と
このような世の中の
破滅を賢人はよく考え
聖人はそこに真理を見て
幸せな世界を築く、
ということです。
Parābhavasuttaṃ chaṭṭhaṃ niṭṭhitaṃ.
破滅のスッタ集 6つ目 終わり
6. 破滅のスッタ集 終わり