第2章 小さな章:7. バラモンの教え② 294〜300

7. Brāhmaṇadhammikasuttaṃ バラモンの教えのスッタ集 ②

昔のバラモンたちの生活様式の続きです。

SN-2-7-294

"Brahmacariyañca sīlañca, 
梵行・と シーラ・と
ajjavaṃ maddavaṃ tapaṃ;
正直な 柔和な 苦行
Soraccaṃ avihiṃsañca,
優しさ 非暴力・と
khantiñcāpi avaṇṇayuṃ.
忍耐・と・また 尊んだ

彼らは禁欲生活と戒律を守り
正直で温和で質素に暮らし
思いやりがあって他を傷つけず
そしてまた忍耐を尊んだ。

解説

どれも特別なことではありません。人として正しい当たり前の態度ですが、どうして私たちはできないのでしょう?

SN-2-7-295

"Yo nesaṃ paramo āsi, 
人 彼らの 最高の人は だった
brahmā daḷhaparakkamo;
バラモンは 確固たる・努力
Sa vāpi methunaṃ dhammaṃ,
彼は も・また 性行 ダンマに
supinantepi nāgamā.
夢で・さえ ない・近く

バラモンの中でも最上の人は
確固たる努力をもって
夢の中でさえも
みだらな行為に及ばなかった。

解説

みだらな行為とは、邪淫(じゃいん)のことです。節度のないこと。配偶者でない者との情事など、人の道にはずれた性行為。自慰行為のことです。

SN-2-7-296

"Tassa vattamanusikkhantā, 
彼は 務め・従って・学ぶ
idheke viññujātikā;
この世の・ある 賢者・子孫たち
Brahmacariyañca sīlañca,
梵行・と 戒律・と
khantiñcāpi avaṇṇayuṃ.
忍耐・と・また 尊んだ

現代を生きる
この賢者の子孫たちもまた
彼らの務めに従って学び
禁欲生活と戒律を守り
忍耐を尊んだ。

SN-2-7-297

"Taṇḍulaṃ sayanaṃ vatthaṃ, 
米粒 寝床 衣服
sappitelañca yāciya;
バター油・と 乞い
Dhammena samodhānetvā,
ダンマによって 収集した
tato yaññamakappayuṃ.
それ故 祭祀・営んだ

米粒、寝床、衣服
ギーを乞い求め
正当にそれらを集め
それによって、祭祀を執り行った。

解説

インドに侵攻する以前から、アーリア人の暮らしには、人智を超えた神々に対して祭祀を行い、現世での利益や死後の安穏を願う習慣がありました。その後、インドに侵攻した彼らは、先住民である有色人種のドラヴィダ人を征服し、白色人種の自らをバラモンと称してヴェーダの祭祀として火に犠牲を捧げる祭祀yañña」を行うようになりました。人間にとって大切で、神が喜びそうなものを捧げることで、人間の願望をかなえてもらう儀式です。

SN-2-7-298

"Upaṭṭhitasmiṃ yaññasmiṃ, 
供された 祭祀において
nāssu gāvo haniṃsu te;
ない・決して 牛 殺した 彼らは
Yathā mātā pitā bhātā,
ように 母 父 兄弟
aññe vāpi ca ñātakā;
他の あるいは・また と 親族
Gāvo no paramā mittā,
牛は 確かに 最高の 友
yāsu jāyanti osadhā.
そこで 生じる 薬

彼らは祭祀のために
牛を殺して捧げることはなかった。
母や父、兄弟、あるいは親族を
殺さないのと同じように。
牛は彼らの親友であり
牛から薬を作った。

解説

現代のバラモンもゴータマ・ブッダ の時代のバラモンも、祭祀の際には、大切な財産である家畜である牛を殺して犠牲として火に捧げますが、初期段階のバラモンは、ソーマ酒(古代インドの神酒)やギー(バターの上澄み油)を火に投じて祭祀を行っていました。後世でブッダが批判するような、動物を大量に犠牲とすることは決してありませんでした。

牛の乳から作るギーは、インドの伝統的医学であるアーユルヴェーダの療法でよく用いられます。『パンチャカルマ』という療法では、2週間以上入院して身体の毒素を排出しますが、コップ1杯のギーを数日間飲まされます。また、『ネトラパルタナ』という目の療法では、目の周りに土手を作り、そこにギーを溜めて目を浸します。視力が上がるそうです。

SN-2-7-299

"Annadā baladā cetā, 
食べ物を与え 力を与え また・それらは
vaṇṇadā sukhadā tathā;
彩を与え 安楽を与え そのように
Etamatthavasaṃ ñatvā,
この・理由を 知って
nāssu gāvo haniṃsu te.
ない・決して 牛は 殺した 彼らは

牛は食べ物、力
美しさ、安らぎを与える。
このことを経験的に知っていたので
彼らは決して牛を殺さなかった。

解説

牛から与えられる食べ物、牛乳、クリーム、バター、バターの上澄み油、ヨーグルト、チーズなど、つまり乳製品は良質なタンパク質やカルシウムを多く含む健康食品です。滋養に富み、気力体力を与え、骨や皮膚を作ります。また、カルシウムは、心を安定させてくれます。昔のバラモンたちはこのことをよく知っていたから、牛を殺さなかったのです。

SN-2-7-300

"Sukhumālā mahākāyā, 
優美で 大きな・身体
vaṇṇavanto yasassino;
美貌の 名声のある
Brāhmaṇā sehi dhammehi,
バラモンたちは 自ら ダンマによって
kiccākiccesu ussukā;
すべきこと・すべきでないこと 熱心になる
Yāva loke avattiṃsu,
限り 世界 転ずる
sukhamedhitthayaṃ pajā.
幸せを・継承した・ここに 人々

優雅で身体が大きく
容姿端麗で人望がある
バラモンたちは
自らの教えに従って
職務に熱心だった。
彼らがこの世に生まれる限り
この種族は繁栄した。

解説

ここまでが、初期のバラモンについてのスッタです。次からは堕落していくバラモンの姿が紹介されます。